注:この物語はフィクションです。
タイガー重戦車を擁する怒何時(どいつ)高校との練習試合まで、あと一週間と迫っていた。
放課後、生徒Aは校長室に呼び出された。
「我が校には予算がない。だが戦車は配備した。思う存分使ってくれ」
校長はそう言って、校長室の窓から見える校庭の戦車を指差した。
見るからに貧弱な軽戦車、1号戦車だった。
「・・・あれでタイガーと戦えと?」
「心配するな、教師陣が全力でサポートしよう」
「予算もないのにサポートだけでどうにかなるの!?」
「大丈夫だ、1号戦車でも時間稼ぎにはなる」
「オトリかよ!」
「そうだ。君は話の分かる優秀な生徒だな」
「他に戦車ないの?」
「九七式中戦車もある」
その名を聞いた生徒Aは、愕然とした。
「きゅうななしきだと・・・」
「1号戦車をオトリにし、その間に九七式中戦車をタイガー重戦車の側面に回らせて撃破する。
我々の作戦は完璧だ!!」
「絶対ムリだよ!」
「おっと間違えた。九七式ではなく、90式戦車だった」
「おお!!それならなんとかなるかも・・・」
予算がないのによく90式(きゅうまるしき)が用意できたな・・・なんて生徒Aが思っていたら、
校長は引き出しから何か小さな物を取り出した。
「これがその90式戦車だ。思う存分改造してくれたまえ」
校長は手の平に載せた90式戦車のミニカーを見せてきた。
「やっぱムリだ!」
終わり。