『サーモン』
ほとんど無に等しい幻のイギリス車。
サーモンは、鮭(さけ)という意味の英単語です。
しかしながら、自動車メーカーおよび自動車ブランド名のサーモンが鮭という意味なのかは、不明。
恐らく、関係はないでしょう。
S A L M O N
1910年代半ばぐらいの時期に作られた、『サーモン』なる製品名の自動車。
このイギリス車は、『サーモン・モーター社』が生産した『エース』が存在した頃の車です。
ただし、サーモン車はサーモン社の製品ではありません。
サーモン車の製造メーカーは、『バグレー・カーズ社』。『バグレー』を製造していたメーカーです。
サーモン車(バグレー社製品)は、
バグレー車(バグレー社製品)あるいはエース車(サーモン社製品)と同じ工場で作られました。
このことから、サーモン社はバグレー社の関連会社で、
サーモン車登場時にはバグレー社と名を変えたのではないでないかという推測にたどり着きます。
当初から会社名は異なるだけで、実質は同じ自動車メーカーだったのでしょう。
また、サーモン車はエース車と同様にライトカー(軽量な車)でした。
ただ、こちらのほうがエース車よりも大きかったようです。
エース車よりも馬力が高いエンジンを搭載。
バグレー社から見れば、
小型のエース車と大型のバグレー車の間に位置させる・・・というラインナップで
挑もうとしたのでしょうが、
サーモン車は3台程度作られただけのようです。
一説では4座(4人乗り)モデルが3台作られたとされ、
別の一説では2座オープン、クーペ、デリバリー・バンが1台ずつ作られたのこと。
さ ー も ん
バグレー車はサーモン車よりも長生きし、1920年代に入った頃まで存在しました。
小型のサーモン車あるいはエース車は、本格的な生産を行う必要なしと判断されて、
早々に見切りをつけられたのだと考えられます。
バグレー車ですら現役期間は10年ほどで100台にも満たない生産台数。
サーモン車が3台だけだったのも、仕方がないのかもしれません。
その恐ろしいほど少ない生産台数から、ほとんど実験的に作られたと推測するしかないサーモン車。
「幻の車」と呼んだほうが良さそうな車だと言えます。
大:バグレー社 『バグレー』
中:バグレー社 『サーモン』
小:サーモン社 『エース』
参考資料『ザ・コンプリート・エンサイクロペディア・オブ・モーターカーズ』等