『ベルサイズ・ブラッドショウ』
ベルサイズ社が製造したライトカーに冠された名前。
初期のイギリス製自動車およびロンドンタクシーの一つとして知られる『ベルサイズ』を
製造していたベルサイズ社。
同社は、1920年代に入った頃に新しく小型車を製造します。
製品名は、『ベルサイズ・ブラッドショウ』。
その名の通り、ブラッドショウ氏が設計したベルサイズ車です。
この車は『ピアス・アロー』のように、
円形ヘッドライトがグリル横ではなくウィング(フェンダー)の上にあったようです。
そのため、グリルとヘッドライトの位置はかなり離れて見えます。
グリルの形は縦長の長方形。
ベルサイズ・ブラッドショウ車はライトカー、つまり軽量な車でした。
屋根のない二人乗りの車だったので、大きいほうのベルサイズ車とは違い、
ほぼ間違いなくタクシーとして使われたことはなかったでしょう。
『ピアス・アロー』:アメリカのかつての高級車。
フェンダー上にヘッドライトがついていた車の代表格。
ピアス・アロー風の顔つきと言えば、グリルとヘッドライトが離れた顔つきのことです。
ベルサイズ・ブラッドショウ車が登場した頃、
サイクルカーという低価格で品質の高くない車(一部例外あり)がありました。
それに『オースティン セヴン』のような、今も愛される素晴らしい小型の大衆車もありました。
ベルサイズ・ブラッドショウ・ブランドの車はそれらに勝つことができず、
1920年代半ばに生産中止となりました。
なお、大きいほうのベルサイズ車もその時には同じ運命をたどっていました。
ベルサイズ・ブラッドショウ車が消えた時。
それは初期からのイギリス自動車メーカーが一つ終わりを迎えた時でした。