Talbot-Simca
『タルボ・シムカ』
最後のシムカの名を持った、つなぎ的役割を果たした車。
かつてフランス大手自動車メーカーだったシムカ社は、
1960年代にアメリカのクライスラー社に買収されて
クライスラー・フランス社となったものの、いい具合に進みませんでした。
1970年代後半にクライスラー・フランス社は
イギリスのクライスラーUK(旧ルーツ)社とともに、
同じフランスのプジョー社に売却されてしまいます。
そうして以後は、シムカ社とルーツ社に共通する名称「Talbot」を
ブランド名に用いることになります。
イギリス版は英語読みの『タルボット』、
フランス版はフランス語読みの『タルボ』となるのですが、
1980年代に入った頃までは、旧シムカ社つまりフランスでは『タルボ・シムカ』の名で、
それまでの『シムカ』および『クライスラー・シムカ』が名を変えて売られていました。
『シムカ 1100』→『タルボ・シムカ 1100』
『シムカ オリゾン』→『タルボ・シムカ オリゾン』
『シムカ 1307』/『シムカ 1308』/『シムカ 1309』
→『タルボ・シムカ 1510』
『クライスラー・シムカ 160』/『クライスラー・シムカ 2リッター』
→『タルボ・シムカ 1610』/『タルボ・シムカ 2リッター』
1980年代に入って現れた『タルボ・シムカ ソラーラ』のみが以前にはなかった車種ですが、
これは『タルボ・シムカ 1510』の後ろのハッチ式ドアをなくして
4ドア・セダンにしただけで、なんら新しい車ではありませんでした。
結局のところ、1979年から1980年までの短い間のみに、タルボ・シムカ車は存在しました。
以降はタルボ車となり、ついに長きに渡ったシムカの名も過去のものと化してしまったのです。
参考資料『ザ・ビューリー・エンサイクロペディア・オブ・ザ・オートモービル』