第二次大戦以前の車、あるいは戦後1950年代のアメリカ車は、
ほとんどの場合、車名が違っても同じブランド名の車達はほぼ同じ形をしていました。
大小の車でも別のデザインを持つことはほとんどなく、共通のフロントグリルを持っています。
別の形(大きさ)の車を自動車メーカーが作る場合、(子会社を作って)ブランド名を
変えて作っていました。それはアメリカ車によく見られる手法でした。
アメリカ車の例
スチュードベーカー → アースキン
ハドソン → エセックス
顔つきが共通しているし、どれもほとんど外見が同じため、当時の車は
ブランド名だけで呼んでも差し支えないでしょう。
同じブランド名の車達がどれも同じような車だった代わりに、ボディの形状は色々ありました。
屋根ありとか、屋根なしとか、半分屋根あり(なし)とか・・・。
今の言葉で言うと、
オースティン(ブランド名)・セヴン(車名)
ですが、
当時の車は
オースティン(車名)・セヴン(モデル名、あるいはシリーズ名)
と呼んだほうが良いかもしれません。
昔の車(戦前車)の「車名」は、現在の「車名」と「ブランド名」の両方を合わせたような意味を持った
感じです。
自分は戦前物も共通させてブランド名/車名表記で書いていましたが、
今回はここから、1950年代のところまでは車名/モデル名表記でいきます。
あと、昔の車はモデル(シリーズ)名は数字ばかりでした。ちゃんとした非数字のモデル名を
持つ車もありましたが、数字のほうが多いです。
ちゃんとした車名(非数字)の戦前車:モーリス・オックスフォード
ヒルマン・ミンクス
ロールスロイス・シルバーゴースト
1950年代頃になると、イギリスでは車の大きさによって、
同じ車名でもモデル名が違えばデザインは違ってきます。
共通のグリルを持っているものが多いものの、どの車なのかが見分けがつくようになりました。
この頃以降は車名をブランド名、モデル(シリーズ)名を車名と呼んだほうがいいかもしれないです。
アメリカは1950年代に入ってもまだ、ブランド名=昔の言葉の意味の「車名」のようでした。
例えば、『ビュイック』ならビュイックの名が冠されていれば
『ビュイック・スーパー』でも『ビュイック・ロードマスター』でも
細かいところを除けば基本形は同じです。
1950年代当時のGM社の乗用車ラインナップは、
最高級 キャデラック
高級 ビュイック
中級 オールズモビル(注:現在はありません)
中間 ポンティアック
大衆 シボレー
の5つ、と考えていいでしょう。
ボディの基本形は上の5つだけ。モデル名が違っても、外見上は横に入る線とかの違いが
少しあるだけで、ボディそのものは同じです。
アメリカでも1960年代以降はブランド名=車名ではなくなり、大小のデザインが異なっていきます。