こまかい後悔日記

主に車、WoT、アニメなどのことを書くブログです。

BMC

『BMC』
英国最大の自動車メーカーの始まり。

かつて、英国では当時の大メーカーの合併がありました。1950年代前半のことです。
片方は『オースティン社』、
もう片方は当時『ナッフィールド・グループ』を形成していた『モーリス社』です。

これはすごいことでした。

イギリスで一、二を争う自動車メーカーの合併。
これは日本でたとえると日本の上位2つの自動車メーカーが合併してしまうようなものです。

オースティン社とモーリス社は合併し、
『BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーションの略)社』になりました。

この合併は両社が外国資本による侵略から逃れるため、英国でのシェア(市場の占有率)、
つまり英国での高い立場を守るためにおこなわれたのです。

当時の英国内で強かった外国資本の自動車メーカーは、アメリカ資本のメーカーです。
アメリカのフォード社の子会社『フォード(UK)社』と
アメリカのGM(ゼネラル・モーターズ)社の子会社『ヴォクスホール社』。

特にフォードUK社の製品の『フォード(英国独自の車を持つフォード車)』は
オースティン/モーリスの両車並に売れていたようです。

英国独自のフォード・ブランド:今は存在しません。現在フォードUK社は
ドイツ・フォード社と統合されて『ヨーロッパ・フォード社』となっており、
イギリスとドイツで売られているフォード車のデザインに違いはありません。

ヴォクスホール:ヴォクスホ-ル社の車。現在はどの車も全て、
同じGMグループの『オペル』をベースに作られています。グリル以外の違いはほとんどありません。

オペル:GM社の子会社『オペル社』で作られる車。ドイツ車です。


モーリス社(ナッフィールド・グループ)は、複数のブランドを持っていました。
また、BMC時代にはオースティン系のブランドが追加されます。

BMC社のブランド
モーリス系
モーリス:大衆車。
MG:スポーツカー担当。
ウーズレー:モーリスよりも高級な位置づけ。
ライレー:ウーズレーよりも高級、それに多少スポーティな位置づけ。

オースティン系
オースティン:大衆車。
オースティン・ヒーレー:2つの名が結びついたブランド名。スポーツカー担当。
            MGと違い、スポーツカーだけでした。
ヴァンデン・プラ:オースティン傘下だったコーチビルダー(ボディ製造メーカー)の名前が
         BMC時代にブランド名になったもの。BMCのブランドでは一番高級な位置づけ。

BMC時代には、同じ車をベースにそれぞれのブランドとその伝統を持った車が大量に作られます。
それらはコストダウン(生産費用削減)のために、車種統合や部品の共通化がおこなわれた結果でした。

その代表例が、小型大衆車『ミニ』です。


BMC時代のブランド名違いの『ミニ』一覧
  オースティン・ミニ(当初はオースティン・セヴン)
  モーリス・ミニ(当初はモーリス・ミニ・マイナー)

 上の二つがミニの基本形です。

  ウーズレー・ホーネット
  ライレー・エルフ
 この二つはミニの高級版。大衆用ミニと違って、ミニの名前はついていません。
 ウーズレー車およびライレー車の伝統の縦長フロントグリルがついているのが、最大の特徴。
 後ろには独立したブーツ(トランク)がついているため、ミニよりも全長は長いです。


BMC時代には、モーリス系とオースティン系の主導権争いもあったようです。
ですが、この主導権争いは新しい主導権争いに変わります。
それに関しては、また今度の機会に・・・。


おまけ
『BMC』
親会社の都合で生まれた商用車ブランド。

1950年代にオースティン社とモーリス社が合併してBMC社になったことにより、
『BMC』というブランドの商用車が生まれました。大型商用車にこの名がつけられていたようです。

商用車は普通、乗用車よりも古くさい外見をしています。このBMC車もそうです。
見た感じ、古くさい感じがします。でも、それがかわいく見えたりもしますね。

BMC車は詳しくは知らないのですが、1960年代後半にBMC社が商用車メーカーと合併して
社名を変えているので、その頃には消滅していたでしょう。

詳しく知らなくても、注目されない車だというのは想像がつきます。