自動車ブランド名。今年の最後を飾るのは、これ。
Morgan
『モーガン』
イギリスの伝統車。
イギリスでは、ものすごいく多種の車が作られました。
『オースティン』、『モーリス』、『ローバー』、『レイランド』など、
中には世界的に有名になったものも多く存在します。
ですが、嘆かわしいことにその大半が現在、消滅か名前だけ残っている状態です。
1920年代、ヴィンテージ期を生きた有名どころのうち、
まともに生き残っている自動車ブランドは、一つしかないと言っても言い過ぎではないでしょう。
それこそが、『モーガン』なのです。
もーがん
モーガン車は、1910年代に登場しました。
1930年代半ばまでは前2輪後ろ1輪のスリーホイラー(3輪自動車)でしたが、
小型、簡素かつ安価な車だったため、市場でもかなり売れていたようです。
中でも、エンジンがむき出しになっている外見の3輪モーガン車がよく知られています。
また、1930年代前半頃のスリーホイラー『モーガン ファミリー』は、
二分割グリルを持っているモーガン車でした。
もーがん
1930年代半ばになると、初の4輪車『モーガン 4/4(フォー・フォー)』が登場します。
これはスリーホイラー製造メーカーが作った4輪車の中で最も成功した車です。
上部が半円を描いた縦長の銀メッキ・グリル、独立式円形ヘッドライトを持ち、
ボンネットは長く、流れるようなウィング(フェンダー)が美しい、
1930年代当時のありふれたオープン式スポーツカー・スタイルの車でした。
当初は2シーター(2人乗り)、少し遅れて4シーター(4人乗り)が用意されました。
4/4登場後、スリーホイラーはエンジンむき出し式を改め、
4輪版と同じ顔つきとなって販売されていました。
もーがん
1950年代に入って、より強力なエンジン(スタンダード・トライアンフ製)を搭載した
『モーガン +4(プラス・フォー)』が現れ、4/4は一旦、生産中止になります。
しかしながら、+4の若干近代化されたボディを流用して1950年代半ばに復活しました。
4/4、+4ともに、グリルがボディにそってやや上部が寝かされて取りつけられ、
ヘッドライトがボディ埋め込み式になっているのが、1930年代のものとは異なります。
全体的な形は、1930年代そのままでした。
4輪に力が入れられる一方で、長い期間を生きたスリーホイラーは
1950年代前半に製造中止になってしまいます。
もーがん
1960年代はモーガン社にとって、以降の道を決断した時代です。
『モーガン +4+』という、モーガン・グリルを持ちながらも
妙に他車と並ぼうと必死に近代化されたような、他のモーガン車とは全然違う車が現れました。
+4+はほとんど売れず、逆に+4の後継車としてローバー製大型エンジンを搭載し、
幅を広げただけの『モーガン +8』は成功しました。
これにより、スリーホイラー時代は大衆車という位置づけだったモーガン車は、
「伝統」という他車では見られない特徴を守り続けることになったのです。
2009年現在になっても、基本的にモーガン車は4/4を始めとする
古き良きイギリス車そのままの姿で存在しています。
もーがん
驚くべきことに、モーガン車は今でも手作りで作られています。
その上、芸術品のように素晴らしいデザインを持っているのです。
モーガン車が生きている間、モーガン車以上に有名だったイギリス車が、
現在までいくつも消え去りました。
世界で最も没落したのはイギリス車ですが、伝統のモーガン車がなくならない限り、
イギリス車の栄光に終わりはないと断言出来るでしょう。