『ヴァンデン・プラ』
伝統を誇るボディ製造業者の誉れ。
『ヴァンデン・プラ』というブランド名を冠した車が登場するのは、1950年代後半。
これは後発のブランド『ジャガー』よりも遅いです。
しかしながら、『ヴァンデン・プラ社』はそれよりもずっと以前から
ボディ製造をおこなうメーカー(コーチビルダー)として存在していました。
「BMC社」傘下になった後、とうとう自身の名がブランド名としてつけられるようになったのです。
1960年代には大きく分けて3種類のヴァンデン・プラ車が存在していました。
1 中型高級車『ヴァンデン・プラ・プリンセス 3リッター』
最初のヴァンデン・プラ車。『オースティン A99(A110)ウェストミンスター』の高級版で、
ロールス・ロイス社製エンジンをのせた『ヴァンデン・プラ プリンセス 4リッターR』という
同形車もありました。
2 小型高級車『ヴァンデン・プラ プリンセス 1100/1300』
BMC社の6ブランドあった『ADO16シリーズ』の最上級版。日本ではかなり見かけます。
3 大型高級車『ヴァンデン・プラ プリンセス 4リッター』
『オースティン A135プリンセス』の車名変更版。
オースティン・プリンセスのボディを作っていたのは、当初からヴァンデン・プラ社だったようです。
1970年代のヴァンデン・プラ車は、ヴァンデン・プラ プリンセス1100/1300の後を
引き継いだ『ヴァンデン・プラ 1500』だけとなります。
のちに同じ外見でエンジンの大きさが異なる『ヴァンデン・プラ 1.7』が加わり、1500は
「1.5」に名称変更されたようですが、
1980年でヴァンデン・プラ車は消滅します。
その後、ヴァンデン・プラの名は、サブネームやグレード名として使われました。
車名の後にヴァンデン・プラの名がつき、
その名がつく車は普通のものよりも豪華仕様となっていました。
元ボディ製造業者としては名前がつけられるぐらいで十分誇れるでしょうが、
一度はブランド名にまで格上げされた名前なので、
やはりブランド名として使われないのは少し寂しいですね。
なお、ボディ製造メーカーの名前がブランド名にまで上がっていった例は少なく、
有名なところではせいぜいヴァンデン・プラと同じイギリスの『ジェンセン』ぐらいでしょう。
現在ヴァンデン・プラの名は、ジャガーなどと同じように
アメリカのフォード社が所有しているようです。