このコーナーは『世界の車ブランド名』を名乗っておきながら
大半がアメリカ車、なおかつ他にはフランス車とベルギー車(苦笑)しかなかったので、
今回は別の国の車のことも書きますね。
『ポビエダ』
第二次大戦後に生まれたロシア系の中型車。
やや丸みを帯びている。
それでいて、
これまでは独立していたウィング(フェンダーのこと)や円形ヘッドライトが
「ボディと同化」している。
第二次大戦後の1940年代の後半、
そんな車が現れ始めます。
戦前車そのものの形で生産される車に混じって・・・。
当時はソビエト社会主義共和国連邦と呼ばれていたロシア。
この国で生まれた戦後の中型乗用車が、『ポビエダ』なのです。
しかしながら、この車はヨーロッパ向けの名前で、「ビクトリー」とも呼ばれます。
ロシア内では、『ガズ M20』と呼ばれていたみたいです。
また、「ガズ M20ポビエダ」と呼ばれることもあるようです。
要は、ロシアでは『ガズ』のブランド名で、
輸出向けが『ポビエダ』だったとのこと。
つまりポビエダ車はいくつかラインナップのあるガズ車の1車種が独立したものなので、
ポビエダ車はこれそのものがポビエダ車、1車種のみなのです。
ガズ車には、『ガズ M12(高級車)』、
『ガズ M21(ポビエダの後継車)』などがあり、
「ガズ=ガズ1車種のみ」ではありません。
P O B I E D A
ポビエダ車はすでに書いた通り、戦後型のスタイリングです。
丸みを帯びた4ドア・サルーン(セダン)で、
前期型のグリルは「凸」のような形で横線がいくつも入っています。
当時のイギリス車『ジョエット ジャベリン』に似た感じです。
戦後型アメリカ車を縮小したようなデザインで、なおかつヨーロッパ車的な雰囲気も漂います。
生産期間の途中、ポビエダ車は同じボディ型のままグリルが変更されます。
横型となり、グリルの横線の太さが力強くなっており、
繊細な前期型と比べ、ややアメリカ車感が強まりました。
ついで話:ポビエダ車(ガズ M20)のボディは四輪駆動車用のシャーシ(土台)にのせられ、
『ガズ M72』という車が作られました。
ポビエダ・ボディが少し浮いているような感じで面白い車です。
ポビエダ車は1950年代後半まで作られました。
後継車として、『ヴォルガ』(ロシア名『ガズ M21』)が登場します。
ヴォルガ車は2代目以降も登場し、現在もその名は使われています。
それに対し、ポビエダ車は1代目のみで消滅。
ポビエダ車は不成功だったわけではないはずですが、
ロシアの中型車と言えば、
悲しいことにポビエダではなく、ヴォルガのほうが圧倒的に有名なのです。
参考資料『ザ・コンプリート・エンサイクロペディア・オブ・モーターカーズ』