こまかい後悔日記

主に車、WoT、アニメなどのことを書くブログです。

フォード(フランス)

2008年8月の毎週木曜の深夜は、フォードの名が入った自動車ブランド名特集。
このくだらない企画も、今回で最後です。
最後は、真打ちたる「フォード」です。


『フォード(フランス)』
ついに登場したフランス版フォードだったものの、終わりは早かった。

フォード。
この名を知らない車好きはいないでしょう。

フォードと名のつくアメリカの自動車メーカーおよび大衆自動車『フォード』のことです。
ただし、世界各地に独自仕様のフォード車がありました。
『フォード(UK)』や『(日本)フォード』などです。

世界各国のブランド名は本家のアメリカ版と同じ『フォード』ですが、
アメリカ製フォード車とは異なる車種も多く存在しました。

『フォード(フランス)』もまた、フランス独自の車種が存在したフォード車でした。

  ふぉーど・ふらんす

フランス製造版フォード車自体は、1910年代後半ぐらいからあったらしいです。
けれども独自性はありませんでした。
アメリカのフォード社がフランスに建てた工場。
ここで作られた、アメリカ版と同じ車に過ぎなかったのです。

フランス独自のフォード車が現れるのは、1930年代からでした。

『トラクフォード』という、ヨーロッパ製フォード車の『フォード モデルY』を
改良した車が登場しました。

また、フォード社がフランスのマティス社を傘下にし、
『マトフォード』というフランス版フォード車を作り始めました。
これはマティスとフォードをあわせた造語のブランド名で、
外見は当時のフォード車と似通っているものの、
少なくともブランド名はフランス独自のものでした。

  ふぉーど・ふらんす

第二次大戦後の1940年代後半に、
フォードの名以外がつかない、フォード(フランス)車がついに誕生します。

当初はマトフォード車と同じものを製造していたらしいですが、
その後にフランスだけの車種がついに登場します。

それは『フォード ヴデット』。
1950年代前半頃のアメリカ車のような、丸みを帯びた中型の乗用車です。
このヴデットがフォード・フランス社のメイン車種でした。

他にもヴデットの上級版として『フォード ヴァンドーム』も出現します。
さらには、2ドア・クーペの『フォード コメット』および
コメットの高性能版『フォード コメット・モンテ‐カルロ』、
商用トラックの『フォード カルゴ』もありました。

  ふぉーど・ふらんす

フォード・フランス社はフランス独自モデルをフランス市場に提供したものの、
フォードの大ブランドを背負っていたとは思えないほど短命に終わります。

登場してから10年も経たない1950年代前半、
フォード・フランス社は同じフランスのシムカ社(『シムカ』の製造元)の傘下に入り、
ブランド名としてのフランス版フォード車は姿を消します。

しかしながらフランス・フォード社の代表車種ヴデットは、
『シムカ ヴデット』として残りました。

コメットやカルゴも、シムカ・ブランドとして売られましたが、
どれも消える運命にありました。

最後まで生き残ったのは、やはりヴデットでした。
1960年代に入った頃まで、シムカ社のラインナップに入っていたのです。
もちろん言うまでもなく、フォード(フランス)車としてではなく、
シムカ車として、でした。


参考資料『ザ・イラストレイテッド・エンサイクロペディア・
オブ・トラックス・アンド・バスィズ』等、各種資料