『カントリーマン』
戦後オースティンのワゴン・モデルにつけられた名前。
第二次大戦後になると、
それまで同ブランド内の車がどれも似たり寄ったりのデザインだったヨーロッパ車が変わり、
大小の車が見分けやすくなってきました。
戦前 ほぼブランド名=車名
だったデザインが、
戦後 ブランド名<車名
になってきたのです。
戦後から1960年代頃までのオースティン車は、車名が
「A+数字(数が大きいほど車体が大きい)+地名」
になっている車がけっこうありました。
例:オースティン A40サマーセット
また、当時のオースティン車の中には、ボディ形状がサルーン(セダン)以外にも
エステートカー(ステーションワゴン)が用意されていることもあり、
そのエステートカー仕様が『カントリーマン』と呼ばれていました。
モーリス版エステートカー仕様はトラベラーと呼ばれます。
カントリーマンで特に有名なのは、『オースティン ミニ・カントリーマン』でしょう。
この車は小型大衆車『オースティン ミニ』の全長を伸ばしたバージョンです。
ボディ左右と背後に木のパーツが骨組みのようにくっついているものが大多数。
そこがかなり強調されています。
背後のドアは両開き。
ミニよりもかなり長いボディに見えますが、
これはこれで面白い手法だと思える車に仕上がっていると思います。
木材パーツが、やはりこのワゴン版ミニの雰囲気を高めていますね。
オースティン (ミニ・)カントリーマンはミニのブランド名が
オースティン/モーリスからBLへと統合された際、消滅してしまいます。
後を継いだのは、『BL ミニ・クラブマン・エステート』。
顔つきは特徴のなさそうなミニ・クラブマンと同じ。
ボディ外側につけられていた木材パーツは姿を消し、
エステートカーを示すサブネームが『カントリーマン』という個性的な名前ではなく
ごく普通な『エステート』になった
という、かなり寂しい車でした。
あまりにもミニのワゴン版が日本では有名なため、
オースティンのカントリーマンやモーリスのトラベラーがミニ一族に思われていそうですが、
それは大きな間違いで、
カントリーマンはオースティン一族、
トラベラーはモーリス一族の名前です。
その名はオースティン/モーリス時代のミニにしか用いられていませんし、
すでに上でも書いた通り、ミニ以外の
オースティン/モーリスの車両(例えばオースティン 1100カントリーマン)も
カントリーマン/トラベラーの名前を名乗っていたのですから。